いつまで

帰り道、宇宙との境目が曖昧になったような深い青色の空を見て大きく息を吸い込む。目から涙がこぼれて、頬で冷たくなった。



日常の中で泣きたくなることがたくさんある。

朝、自転車置き場のおじさんにお弁当作ったきた?と聞かれて作ったと答えると偉いねえって褒めてくれるときや、ありがとうと言ってもらえたとき、帰りの更衣室で「皆さんすっかり冬の装いですね」と話しかけてもらえたとき。ぶつかりそうになっておじさんに舌打ちされたときや、どれだけ言葉を重ねても言いたいことが伝わらないとき。空がきれいだったり、知らない家からシャンプーや煮物のいい匂いが漂ってきたとき。


喜びのスイッチはたくさんの条件と暗証番号が合わないと押せないのに、悲しみのスイッチは簡単に押せる。

全ての感情を悲しいに変換してしまうから、そう感じるのかもしれない。

いつも悲しい。いつまで悲しいんだろう。